78kgという数字を突きつけられたあの日から、私の「無謀なデバッグ」が始まりました。
まず手を出したのは、当時流行っていたWii Sports。 「ゲーム感覚なら続くはず」とリビングでリモコンを振り回しましたが、現実は甘くありません。数日後には筋肉痛だけが残り、体重計の針は微動だにしませんでした。
次に挑んだのは、あの伝説の軍隊。ビリーズブートキャンプへの入隊です。 「明日には5kg痩せているんじゃないか」という淡い期待は、開始10分で打ち砕かれました。78kgの体を支える膝が悲鳴を上げ、滴り落ちる汗は絶望の味がしました。結局、数日で「除隊」です。

(モデルのおじさんはイメージな人です)
「運動がダメなら、食わなきゃいいんだろ」 そう開き直り、極端な食事抜きと夜のランニングを並行しました。 実はお酒を一切飲まない私にとって、唯一の楽しみは食事だけ。その楽しみを奪った代償は大きく、空腹のストレスで仕事は手につかず、夜道で重い体を引きずって走る自分の姿が、情けなくて仕方がありませんでした。
「やっぱり、プロの力を借りるしかないか……」 意を決してウェアを揃え、地元の公共体育館のジムへ向かいました。
受付でスタッフの説明を聞き、立ち並ぶ最新のトレーニングマシンを眺めました。そこには、意識の高そうな若者や、引き締まった体で汗を流す人たちの世界がありました。 説明を一通り聞き終えた時、心の奥底からこんな声が漏れたんです。
「……でも、どうせ私なんか、これをやっても変わらないんだろうな」
入会届を書くことなく、私は逃げるようにジムを後にしました。 お酒という逃げ道すら持たない私が、食事を我慢し、体にムチを打ち、それでもたどり着いたのは「自分への諦め」という深い闇でした。
この時、私はまだ気づいていなかったのです。 システムを狂わせていた「本当のバグ」が、毎日当たり前のように口にしていた**「主食」**にあったということに。
(つづく)
